今年から会社を休職して
久しぶりに新書を一冊読んだので記録。
「パリ 五月革命 私論 転換点としての68年」西川長夫
68年に、パリや東京で労働者や学生が起こした運動について
自分が90年代に学生だったとき、そういった熱が高い状況に憧れていた。
大学院を中退して、会社員として仕事をしているあいだも
どこか憧れの余韻が残っていたかもしれない。
高校生のころ、
当時村上春樹や村上龍の小説に安保闘争について描かれていたのが
68年を知るきっかけだったと思うが
その中で革命と呼ばれていたものの実際がどうだったのかよくわからず、
大学に入ってから安田講堂事件のドキュメンタリー上映会に足を運んだりもしたが
過激な振る舞いをする人の姿が目立つばかりで
何が革命で いったい68年の何が自分を惹きつけるのかはっきりわからず
もし渦中にいたらどう行動していたかと考えてもリアリティが伴わなかった。
読みながら錯覚していったのかもしれないが、
その後18年間に自分がしたことをリストアップすると
答えになっているような気がする。
68年に留学していたため東京ではなくパリにいたせいで、
余所者として運動に接した著者のスタンスがとても好ましく思えた。
ソルボンヌやナンテールで記録した写真や証言と
タイトルどおりごく私的で活き活きと回顧的に挿まれるエピソードを楽しく読んだ。
■以下本文より抜粋メモ
・パヴェ(敷石)について
10センチほどの立方体に削られた砂岩
パリの石畳の基材だが、剥がしてバリケードの基材にされたため
都市文明の象徴と同時に反抗と革命のシンボルにもなった
68年5月後半 革命情報委員会が『パヴェ』というタイトルの小さな新聞を出した
0.5フラン 1号で終わってしまった
一面冒頭にローザ・ルクセンブルクの「創造的な力」に関する一節をひいてバリケードの解説
パヴェに関する「壁の言葉」は数多い
ソルボンヌ以外でもカルチェ・ラタンのあちこちの壁に様々な言葉が書き付けられた
その中でも一番有名なもの
パヴェの下
それは砂浜
Dessous les pav〓s
C'est la plage
・68年5月 ソルボンヌ解放の夜
中庭にグランドピアノが引き出されジャズが演奏されて喝采を浴びた
20人以上が弾いたとの記録も
曲目のひとつは ガーシュイン「パリのアメリカ人」
http://kcpo.jp/info/34th/pariame0.html
・占拠中のソルボンヌでは学生=作家行動委員会が結成され
ブランショやデュラスらが参加しビラを共同製作した
この行動委員会とブランショについては 鈴木道彦『異郷の季節』に詳しい